米ドル/円相場は、1ドル=99円台前半まで値位置を切り上げる展開になっている。10月の米連邦政府閉鎖を受けて米金融緩和政策の早期縮小観測が後退する中、10月25日には96.94円までドル安・円高が進行する場面が見られた。ただ、その後は米実体経済に対する信認回復の動きと連動して改めてドル買い・円売りが膨らみ、11月8日の米雇用統計を受けて、約1ヶ月半ぶりの高値圏まで値位置を切り上げている。
10月米雇用統計であるが、非農業部門就業者数は前月比+20.4万人となり、市場予測+12.0万人を大きく上回った。8月と9月分に関しても速報値からの上方修正が行われており、政府機関閉鎖による民間雇用への大きなダメージは無かったことが確認されると同時に、それ以前の雇用情勢もマーケットが想定していた程には悪い状況には無かったことが窺える。これを受けて、米金融緩和の早期縮小観測が蒸し返されており、米金利上昇圧力と連動してドルが売られ易い地合になっている。来月の雇用統計の結果次第では、年内の緩和縮小観測まで否定できなくなる。あくまでも今後発表される経済指標の結果次第になるが、今回の雇用統計の内容を受けて、少なくともドルが急落するリスクは限定されることになる。
米10年債利回りは、概ね9月中旬の水準を回復している。債券市場は2015年半ばの利上げを織り込んでおり、米金利上昇圧力がドル高・円安傾向を後押しする見通し。現在の日米金利差の水準からは、100円台を回復しても何ら違和感のない状況にあり、現在の99円台前半の価格水準には特に割高感などはない。引き続き、ドル買い・円売りスタンスを維持すべきだろう。
テクニカルでは、一目均衡表の雲上限(98.27円)をブレイクし、今後は同水準と雲下限の98.21円水準が支持線に。サイコロジカルは、前週の6勝6敗から7勝5敗に。14日RSIは58.97。